今週のお題「ゾッとした話」その2
どうも「映画/健康雑談」の高岡です。還暦+1です。
最近、あまり「今週のお題」を書いていなかったのですが先日「ゾッとした話」がお題ならばと、2つの雑談を書かせて頂きました。今日は現在休止中の私のもう一つのブログの方に掲載したことのある「ゾッとするお話・体験談」を、この「映画/健康雑談で心ほぐし」の方に再掲載させて頂きます。
Jill WellingtionによるPixabayからの画像
以下は1993年の夏に我々夫婦が夏休み休暇の際にロスからニューヨークを訪れた時のお話しであります。
ワールド・トレード・センターでイヤな気持ちを味わっていたので、とにかく早く寝てしまおうと思い、夕飯を済ませて、シャワーを浴びて、早々に床につきました。そして、部屋の灯りを消して妻と二人してそれぞれのシングルベッドの中に横たわりました。外からは車の走る音や人の話し声が聞こえてきており、街頭から入る光を極力なくそうとカーテンを引いて眠りにつきました。完全な暗室ではなくてカーテンの隙間から本当にほんの少しだけ明かりがぼやっと部屋にある位の中で眠りにつきました。二人してもう瞬く間に深い眠りに入ってしまいました。
し~んと静まり返っている真夜中のホテルの一室。私はどういう訳だか目が覚めました。おそらくですが、深夜3時位だったのではないかと思います。別にトイレに行きたくなったわけではありません。隣のベッドでは家内がしっかりと寝ているのが分かりました。私は目が覚めたというよりは、真っ暗な部屋のベッドの上で目も開けずにうとうとと半分寝て半分起きているような状態になっていました。
ベッドでうとうととしながらも何となく変なのです。部屋の空気の動きというか、なんだか、我々夫婦以外のなにかがいるような気がするのです。がざがざ音がするわけではありません。
何んとなくなのですが、誰かの、いや何者がいる気配が続いているのです。部屋のドアの鍵は寝る前にしっかりと締まっていることは確認したし、カーテンの向こうの窓の鍵も閉まっているし、カーテンから漏れている光も薄暗いですし。まさか誰かが侵入してきていて金目のものを物色しているのか?そうだとしたら泥棒じゃないか。それにここはニューヨークなのだがら相手は銃を持っているかもしれない。下手に起きていることが分かったら撃たれてしまうかもしれない。寝ながらもそう思った私は極力寝ているふりをし続ける事にしました。
目をつぶり寝ているふりをしながらも暗い部屋の中の様子を静かにじぃっと窺っていました。やはり何者かの気配がするのです。何んと表現したらいいのでしょうか。何か風の、いや空気の塊のようなものが移動しているように思えるのです。ですから、人が静かに音を立てずに忍び足で歩く、それとは違うのです。
もしかすると建物が古いからネズミなのかとも思ったのです。そうだ、きっとネズミだ、そうだ、そうだ。幼い頃、それこそ昭和30年代の東京の下町に住んでいた頃は、どの家も部屋の天井を走るネズミの足音に悩まされていたりしたのだから・・・。「そうか、そうだ、きっとネズミだよ、きっと。」そうに違いないと、自分としてはこの何者かの気配を、もう無理やりにでもネズミのせいにしてしまいたかったのです。
しかしです。そうと思えないことがついに起こってしまったのです!
私はベッドの上にあおむけに寝ていました。そして、右足がシーツからペロンと出ていて、さらにベッドからも飛び出していている状態で寝ていたのです。
私はあいも変わらずに寝たふりを続けていました。絶対に目は開けてはいけないと思いつつ。暗い部屋の中で、その静止の状態はどの位続いたでしょうか。もう何も起こらないと思い、何だか眠りに落ちそうになっていた次の瞬間です。それは起こりました。「露出していた右足のふくろはぎ」をその何者かが撫でてきたのです。まるで本当に寝ているのかどうかを確かめるかのように。
私は心の中で「うわ~、何かに触られいるううう~。」「目を閉じていろ~。何者かと目を合わせると大変なことになると聞いたことがある。目だけは合わせちゃだめだ。」と思いながら、必死に、何も反応を示さず、体も動かさずにただただ寝ているふりを貫き通しました。普通、人が触ったのであればベットとベッドの間に人の体の気配というか、質感が否が応でも感じられる筈ですが、そのベットの間の空間には何もいないのが分かるのです。それなのに手とも空気ともつかないなにかが私の右足をスゥ~っと触っているのです。
家内の手や足が当たったとは考えられないのか?とも思ったのですが、それぞれが寝ているシングルベッドの間は少なくとも60センチは離れていたはずなので、いくら何でも家内の足や手でないことは確かです。
そうだ「う~んとか言いながら寝返りをうって表に出ている足をシーツの中にしまってしまおう。」と思い、その通りにして顔も枕に埋もれるような向きにしました。ただただ「寝ているのだぞ、俺は。」という姿勢だけは崩さずに。もう心の中と心臓はドキドキでいっぱいなのです。だから顔は寝ていても心臓の動きを悟られるのではないかと冷や冷やしていました。
そうこうしているうちに、昼間の疲れのおかげと「もうなるようになるさ」と開き直ったのがよかったのか、その後、何んとか自然に眠りに落ちることが出来たのです。
次に目を覚ますと完全に朝になっていました。カーテンを開けて日の光を入れて部屋の中を見回しても寝る前とまったく同じでした。特にこれといって変わったところは見当たりませんでした。家内は何事もなかったように普通に「おはよう」と言っているし、私の足は何んともなっていないし。では、あの時私の右足を撫でてきたものは一体何だったのでしょうか?皆目、わかりません。夢でないことだけは確かです。
ニューヨークが世界の大都市であり素敵な町であることは重々分かっています。でもこの出来事があってから、どうしても「ニューヨーク」にまた行きたいという気になれなくなってしまったのです。 完