映画と健康/雑談で心ほぐし

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【雑談81:映画125】映画「砂の器」のブログを再掲出します!

どうも「映画/健康雑談」の高岡です。還暦+2です。

去年の秋口から高校生に向けてブログを発信しています。特に「高校2年生」に向けて【にほんブログ村】では、「高校生」というカテゴリーに参加していますが、3月末には「高校2年生部門」カテゴリーからは離れようと思っています!そこで今の高校生たちに観てもらいたい作品をそれまでに数多く紹介しておきたいと思います。

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そこで本日は以前ご紹介した松本清張原作の小説「砂の器」の映画版についてのブログを再掲出させて頂きます。出来れば、若い人たちに本当にこの映画を観て頂きたいなぁとの思いから再掲出することにしました!!それでは以下のブログを読んでやってください!!

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NHK,Eテレの「知恵泉」という番組で昭和の大作家・巨人「松本清張」の特集をしていましたね。あの番組をご覧になった方もいらっしゃるかと思います。番組では氏の生い立ちから誰に憧れて作家を目指すようになり、そして、大作家になっていったのかを描いていました。

氏が亡くなって今年で30年も経つのだそうです。彼の小説の題名は「砂の器」「黒皮の手帖」「ゼロの焦点」「球形の荒野」など読み手の側からすると「この小説は、一体、何を描いているのだろう?」をついつい中味がどういったものなのかに強く興味を持ち、読みたいと思わせるものが多いんですよね。

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今から40数年前、私が中学生だった時、学校の授業の一環で先生方が生徒全員を引率して映画館を借り切って、そこで全員が同じ映画を観るという「学校行事」がありました。中学一年の時に錦糸町の映画館で観た映画が松本清張原作、野村芳太郎監督の「砂の器」(1974)でした。ところどころ病気のことやら大人の世界の言語が出てきて分からなかったところはありましたが、基本的には「殺人事件」と「親子の関係」の話しだったので、中学生でも作品の内容や親子の関係を描いた良質の作品だということは分かりましたし、バックに流れる音楽の素晴らしさに、全身に鳥肌が立つほど感動して、涙したのを覚えています。クラスメイトたちと一緒に見ていたので「泣いて涙を流していた」という事が分かるのが恥ずかしくて「俺は泣かなかったぜ!」というような顔を皆していましたが、ほとんどの生徒が泣いていたことは分かりました。映画が終盤では廻りの仲間たちからすすり泣く声が聞こえてきていましたし、女子生徒の中には大泣きしている子もいたりして。

その後、結婚前の25歳あたりの時にじっくり腰を据えて再度、この映画を鑑賞しました。そして、その時も「やっぱり名作だなぁ~」と再び感動して、また涙してしまいました。

今回、そのNHKの番組を見てみて、久しぶりに(何十年ぶり)人生で3度目の「砂の器」をDVDでじっくりと鑑賞してみました。やはりこの作品は何度観ても日本映画歴史上に残る「名作中の名作」だなぁと思います。

映画の冒頭は、国鉄蒲田操車場構内で早朝に起こった殺人事件を伝えるシーンからスタートします。日本を代表する名優丹波哲郎氏扮する今西刑事が足を使ってじっくりと、じっと、この事件の犯人さがしをしていきます。相棒を務めるのが、まだまだ若い森田健作氏演じる吉村刑事ですが、このコンビぶりがとても良いのです。後半部分からラストにかけての畳みかけるように盛り上がってくる「劇中の展開」。極貧の中で過ごす父と息子の狂おしいほどの「絆」。昭和の時代だからこその美しき日本の四季の景色がしっかりとフィルムに収められています。

息子を引き取り育てようとする村の駐在員・警察官を緒形拳が演じています。映画の中の彼の顔が「若い」のです。私は緒形拳さんは渋い顔をしているというイメージがあったのですが「砂の器」の中の「緒形拳」さんは若くて本当に、このような心優しい駐在さんを演じるにはぴったりの役者だなぁと思いました。それがあらぬことか越えてはいけない一線を越えることになってしまう殺人事件の犠牲者になってしまうとは・・。
3度目の映画鑑賞を終えて思うことは、この映画の脚本を「山田洋次」さんが手掛けているということから、素直に「山田洋次」という人の凄さを思い知るというか、「男はつらいよ」シリーズや「幸せの黄色いハンカチ」などの多くの作品を通して日本人はどれだけ「喜び」「思慮」「感動」「笑い」「哀しみ」「機微」「知恵」というものを味わわせてもらってきたことでしょうか。山田洋次監督に自然と頭が下がり、心の底から「感謝」の念を抱いてしまいます。

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3度目の映画鑑賞を終えて思うこと。この143分という「砂の器」の映画の中に日本人全体が「心」の中に持っている原風景とおぼしき風景が何か所も出てきます。そして、日本人だからこそ「相槌」が打てる「なまり」というものも映画ではとても重要な要素として扱われています。そして、何と言っても、この映画が、名作として、しっかりと成り立っている大きな要因、それは音楽です。映画をご覧頂くと分かるのですが、映画のラスト近くになると、みすぼらしい風貌の「父」と「子」が、季節が変わる「日本にある四季」という風景、「雪が降りしきりる日本の片田舎の道」であったり「綺麗な花々が咲いている野原の道」などであったり、そこを肩寄せ合いながら歩いていく姿を遠景からカメラで撮っていきます。ここは台詞がなくて、音楽だけでこの二人の姿が描かれていきます。この時にかかっている菅野光亮(かんのみつあき)氏が作曲した「宿命」という曲が素晴らしい!とにかく秀逸・Excellent(エクセレント)なのです。

この音楽(曲)があまり素晴らしいので、この曲をメインに演奏される「コンサート」が一時期、数多く開かれていたのですよ!

映画「砂の器」の音楽の総監督は芥川也寸志氏なのですが、彼の父は作家の芥川龍之介で彼はその三男なのです。この映画の原作である小説を書いた「松本清張」は若き日々に、芥川龍之介の大ファンで、彼に憧れて、小説家を目指して「或る『小倉日記』伝」という作品で芥川賞を受賞したのです。その芥川龍之介の三男である芥川也寸志氏が映画「砂の器」の音楽監督をしているということの何ともいいようのない「えにし・縁」がそこにはあるのですねぇ~。

原作者の松本清張氏自身が「この映画は原作である小説を越えた」と仰ったといいます。この作品は幾度となく映像化されてきていますが、私としてはやはり、加藤剛氏、丹波哲郎氏が出演していて野村芳太郎氏が監督した映画作品を今の若い方々にじっくりと鑑賞して頂きたいなぁ~!

今年は「秋」がなくて、いきなり「冬」が来てしまった感じですが「この時期の夜長の日々」に映画「砂の器」をじっくりと鑑賞なさってみてはいかがでしょうか!!