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【映画112】往年の名作映画「サンセット大通り」:引退した(間際の)方々、是非ご覧になってみてください!(90年代、グレン・クローズの舞台を観れました!)

どうも「映画/健康雑談」の高岡です!

今日はかなり昔の作品のご紹介です。きっとシニア層の方しか「題名」をご存知ないかもしれません。若い方でもかなり映画好きでないとこの名作の題名は聞いたことがないのではないでしょうか。あるいはミュージカルの舞台の観劇ファンの方なら日本でも上演されているのでご存知かもしれませんね。今日、お話しするのは「サンセット大通り」という作品です。

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Sabine LangeによるPixabayからの画像

一つの会社にずぅっと勤めて30年以上働いて部長になって、取締役になって、あるいは社長になって「ある仕事」をずぅーっと続けてきて「引退」したという方、あるいは、これから「引退」するという方に是非とも見て頂きたい作品です。 

この映画は1950年度のパラマウント作品で、監督は名匠・ビリー・ワイルダー。もう70年以上も前の白黒作品なのですが、人間の持つ「業」というか、誰の心の中にもある「人に認めてもらいたいという欲求」がどのようなものであり、それをコントロール出来なくなると「人」というものは登場人物ノーマのように「我」を忘れる存在になってしまうという事を教えてくれている作品です。う~~~、観終わるとホント色々と考えさせられます。

【あらすじ】

ある日、売れない脚本家のジョーは、借金取りに追われていたサンセット大通りに建つ一軒の寂れた屋敷に車で逃げこむ。そこは、偶然にもサイレント映画時代の有名女優ノーマ・デズモンドの邸宅だった。銀幕への復帰を目指す彼女は、ジョーに主演作品の脚本を住み込みで書かせることにする。住むところ食べるところに困っていたジョーとしてはこのありがたい依頼を受けることにする。しかし、ノーマの気持ちは仕事のパートナーとしてのそれを越えて、いつしか恋心の領域にまで発展し、ジョーはその状況にストレスを感じ始めていく。そして、再び脚光を浴びて、ジョーとの恋も成就させたいノーマであるが、現実は彼女の想いとはどんどん乖離していき、狂気を帯びたノーマは・・・

※以下はYouTubeに上がっている映画「サンセット大通り」の予告編です。


www.youtube.com

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映画製作者を教育し、アメリカの映画芸術の遺産を尊重する映画の本場にあるアメリカン・フィルム・インスティチュート。その会員たち1500名の業界関係者が1998年と2007年に「偉大なアメリカ映画ベスト100」を選出しています。この映画「サンセット大通り」は1998年に12位、2007年に16位とたえず20位以内にいるとても評価の高い作品です。以下の要素がうまい具合に絡み合いながら当時の映画業界の裏側を垣間見れることもあり、映画公開時は一般の人々からすると「憧れの映画業界・スタジオの中の様子」を見ることが出来るという意味からもとても興味をそそられる内容だったのかもしれません。

 

「今も第一線で活躍する大監督」

「往年の名女優」「評価を得たい若手脚本家」

「映画スタジオ」「映画スタジオの警備員」

「女優を妻にした男のその後の人生」

 

「往年の大スター」という言葉があります。「往年の」の意味は「過去の、昔の」です、つまり、今現在は残念ながら、もはや「スターダム」には乗っていない、この物語の主役の一人、サイレント映画時代に銀幕のスターだったノーマ・デズモンドは、そんな立場にある「往年の女優」。でも、彼女は良い脚本を用意すれば、また再び脚光を浴びるスター扱いされる立場に戻れると信じて疑いません。

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「往年の大スター」

「往年の名スラッガー」

「往年の名投手」

「往年の名横綱」

「往年の(昭和)歌姫」

「往年のヒット曲」

 

私思うんです。その人が本当に一時代を築いたスターであり、本当にその業績が見事であればあるほど、そのスターご本人が、自分で自分のことを「俺は/私は往年の大スターだったの」とは言ってはいけないし、他の人に「スター扱い」を求めてもいけないのだと。

「何とも悲しいお話しですが、それが現実であり、いたしかたのないことなのです」

でも、この映画の登場人物の女優ノーマ・デズモンドは、富こそは手にしています。でも「心は未だに満たされていない人」であり、いつまでも「自分は大スター」なのだと思っている悲しい人なのです。

人間長く生きていると「何ごとも『引き際』が肝心」「ここらが『潮時』かな」というフレーズを幾度となく耳にします。いつかは誰にでも訪れる「引退」の時。「過去のプライド」「地位、業績」などを手放さざるをえない時がやってくるのです。

ビリー・ワイルダー監督は、この物語の中になる「諦めにも似た哀愁」と「一時代の終焉時に感じる惜別の念」をうまく描いているのではないでしょうか。観客は知ってか知らずか、どうもそこに共鳴してしまい、それがこの作品の評価を高くしているのではないでしょうか。

「長生き」することは素敵なことです。でも年老いていくと、それまでの自分ではなくなっていく事なのかもしれません。何かが一つずつ欠落していくことへの焦燥を誰もが味わっていくことにもなります、残念ながら。

 

「今も第一線で活躍する大監督」

「往年の名女優」「評価を得たい若手脚本家」

 

この映画は、観る人の年齢や、その人が「上昇志向の野心家」なのか「それとも安定志向のサラリーマン・公務員」志向なのか、それぞれの立場立場で感じるものが違うと思います。最初、若い時にこの映画を観て「名作だという意味が分からない」と思うかもしれないけれど、歳を重ねて、後年にこの映画を観直してみると「何と奥深い名作なのだろう!」と気づくかもしれません。

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私が所有しているDVDの中に女優のグレン・グローズさんのインタビュー映像が入っています。彼女は1990年の中頃にこの映画がミュージカル化された際、ノーマ役を演じていました。「仮に映画をリメイクしたとしても、往年の映画版『サンセット大通り』を越えることは出来ないと思う」と語っていました。私はロサンゼルスのセンチュリーシティにある劇場で、彼女が演じたミュージカル劇である「サンセット大通り/SUNSET BOULEVARD」を観ることが出来ましたが彼女があれほど歌の上手な女優さんだとは思ってもいませんでした。

2022年の今、パラマウントピクチャーズは彼女を主演にして「舞台?・ミュージカル版」の映画化を考えているようです。面白い企画ですね。

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「我が強い人」、銀幕のスターになろうなどという人は、人前に出てお芝居をするわけですから、ある程度、「我が強い人」でないと務まらないことは確かでしょう。でも「おれが・・」「わたしが・・」と我が強すぎる人は、これまた人から「疎まれてしまう」ことになるでしょう。

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第二次世界大戦後、戦後の日本に駐在し、後にトルーマン大統領により解任されたダグラス・マッカーサー大佐は自らの退任時の演説の中で自分が引退するということをイギリスアメリカ合衆国の軍人によって19世紀頃から歌われていた兵隊歌から「老兵は死なず、ただ消えゆくのみ」というフレーズを引用しました。この言葉は「戦争を戦い抜いた兵士も、時間と共に忘れ去られていく」、「兵士は老いながらも生き続けることはできるが、彼らが生きていることと彼らの成し遂げたものは忘れ去られていく」、転じて「役割を終えたものは表舞台を去る」といった意味に解釈されています。  

※「老兵は死なず、ただ消えゆくのみ」の意味合いをWikipediaから一部引用させて頂きました。